『文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。』を読みながら、紅茶時間を送りました。
どちらかといえば、紅茶より珈琲のほうがイメージ的には合うような気のする本だったかな? しっとりした和文学を読む傍らには、濃密な真っ黒い珈琲が似合いそうです......。
この紅茶は、とある洋食喫茶で食後に出されたもの。ちょっぴり渋味があるのが、フライや肉物の食後に飲むと、口の中がさっぱりして、ちょうどよかったです。こってりした洋物小説(なんて、あればですが)には、紅茶がいいなと思いました。
何はともあれ、文藝ガール的日常としては、本屋と喫茶店の往復だけで、あたかも冒険に出たような気分で過ごせてしまうんだわ♪と、『文藝ガーリッシュ』を読みながら、合点ボタンを押しまくり。そして、私も物語に選んでもらえるような人間であったらいいのだけど......と、わが身をふりかえったのですが、実際には、喫茶店にひとり入り、紅茶をじっくり味わいながら読書できる時間は激減しており、文藝ガーリッシュで紅茶タイムも、ものすごく限られた条件の下に訪れた、幸運な数時間でした。
千野 帽子
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かいつまんで書くのも難しい話ですが、住宅や経済の状態、家族の視線などの理由から、書籍の購入が難しくなってしまいました。図書館は利用できますが、いられる時間が限られています。
私は、かつて読書の話で盛り上がった仲間に、久しぶりの手紙を書いて、冗談まじりに読書環境の悪化を嘆きました。このメール時代に、万年筆に便箋でお便りしては、受け取る方のお邪魔になるだろうなと、半ば分かっていましたが、本好きの方なら、本を読めない悲しみを察してくれるのではないか、という期待がありました。
ただ、相手は今や既婚者で、良い家族関係を構築しており、一人の時間を圧迫するさまざまなことの中にこそ、充実を感じていました。もちろん、家庭の中に幸福があることは、素晴らしい。しかし、返信の中で、本を買うのに反対する側の気持ちへの理解は示されていたのですが、私の気持ちに共感を示すフレーズは、一つもありませんでした。彼女は「あちら側」に立ってしまったのかもしれません。実生活の役には立たない、本の中の独創的な小宇宙を、静かに想っている人間の悲しみは、「それより大事な現実」に生きている人には、届きづらいのです。
また、誰かに分かってもらおうなどと考えた自分が、間違っていたのでしょう。誰に反対されても賛同を求めず、一人勝手に本を読んでいれば、それでよかったのです。悲しみの表明など、しなければよかった......。このまま終わっていたら、気分は地中深くめりこむほど、滅入っていたかもしれません。
でも、その手紙を出す前後に、私は『文藝ガーリッシュ』と出会っていたのです。驚くなかれ、この本は、お手紙なのです。本の扉を開いて、奇想小説の庭に次々お呼ばれする女子に宛てた、長いラヴレター。文脈からして、千野帽子さんがおっしゃる「聡明な」女子というのは、私と相当かけ離れた素敵な女性である、としか思えないのですが。それでも、何かの役に立てるためでない読書を愛している私にとって、力づけられるフレーズが随所にありました。